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最近のデジタル・マーケティングのフレームワークにAARRRを用いるべき2つの理由

マーケティングやセールスにおけるプロセスのフレームワークとして有名なものに, AIDMAAISAS といったものがあります. AIDMA は, Attention(注意), Interest(関心), Desire(欲求), Memory(記憶), Action(行動)の頭文字を取ったものであり, AISAS は, Attention(注意), Interest(関心), Search(検索), Action(行動, 購入), Share(共有)の頭文字を取ったものである. AIDMAやAISAS以外にも派生型として, AIDCA(Atteintion, Interest, Desire, Conviction, Action)であったり, AIDA(Attention, Interest, Desire, Action)といったものもあります.

AIDMAやAISASのような考え方は確かに理に叶っているのですが, 最近のデジタル・マーケティングにおいて,

  • 各段階に, どのくらいのユーザーが存在するか
  • ユーザーを次のステップに誘導できているか

を定期的に数値化してPDCAサイクルを回す, ということが難しいという点があります. 実際, 自社の製品に「注意」を払っているユーザーや「関心」を持っているユーザーを特定したり, その数を推測するのは難しいのです. スポットで実施するのであれば, 調査会社などを使ってアンケート実施などで数値化することはできますが, PDCAサイクルを回すには数値化に時間をかけてはいられません.

そのような事情のもとで, 最近話題になっているフレームワークが, AARRR です.

AARRRとは, Acquisition(ユーザ獲得), Activation(利用開始), Retention(継続), Referral(紹介), Revenue(収益の発生)の頭文字を取ったものになります. 詳細については, 以前の記事(AARRRフレームワークとは何か) で紹介しているので, その記事を見ていただくか, 他にも

などの記事がよくまとまっているので参考にするといいかと思います.

WebサービスにおけるAARRRのステップ定義例

AARRRはフレームワーク(枠組み, 思想)であり, 各ステップの明確な定義は決まっていません. が, ここではECサイトを例にとりAARRRを適用するときに各ステップを定義する例を出してみたいと思います. ただし, これは例であり運用するサービスによって適宜変える必要があります.

  • Acquisition(集客) : ECサイトへの訪問者数(ユニークユーザ)で定義する. 流入経路を「自然検索」「広告」「それ以外」で分けて管理したり, 「自然検索」を「ブランドワード」と「非ブランドワード」に分割して管理するのも有効な定義.
  • Activation(利用開始) : ランディング時の直帰率やサイト滞在時間などを定義とできる. アプリケーションなどであればここをサインアップで定義する手もある.
  • Retention(継続) : リピーター数で定義できる. またリピーターの数を初回接触時の流入経路(自然検索, 広告, それ以外, etc)別に分割したり, リピート時の流入経路(自然検索, 広告, メルマガ, etc)別に分割するとさらに詳細なデータに落とし込める.
  • Referral(紹介) : SNSへの投稿機能の利用ユーザー数や利用回数, SNS経由で訪問したユーザー数などで定義したり, サービスに友達紹介系の機能がある場合はその機能を利用したユーザー数, 利用回数, 紹介経由で訪問したユーザー数で定義できる.
  • Revenue(収益の発生) : ECサイトにおける商品/サービスの購入.

AARRRを推す理由

リアルタイムに精緻なデータが見れる

各ステップをどう定義するかにもよりますが上記の定義例のように定義してみたとします. すると, Webサイト上での行動履歴データを使うことで, 各ステップにどのくらいのユーザーがいるかや, 過去のある地点から現在までに, ユーザーが次のステップにどのくらい誘導できているかなどのデータがリアルタイムに手には入ります. しかも, 推測などではなく精緻なデータが, 低コストで手に入るのです. (厳密にデータを取得するにはWebのアクセス解析ソフトのデフォルトのままでは難しいかもしれませんが, 仕組みの構築のために初期コストがかかってしまいますが, ランニングコストは無視できるレベルになるかと思います)

つまり, PDCAサイクルにおけるCheck(評価)の項目を効率化してくれます.

各ステップの絶対数や各ステップへの遷移率を増やすための施策がイメージしやすい

各ステップのユーザー数をチェックした結果, Acuisition(ユーザー獲得)の絶対数が足りない という判断が出た場合, やるべきことは広告の出稿を増やしたり, SEOの強化などの施策をすることになります. Acquisitionの定義時に, 自然検索/広告/それ以外で分割していればどのセグメントの強化をすべきかが分かりますし、自然検索をさらにブランドワード/非ブランドワードで分割していれば, ブランディングの強化を行うべきか, SEOを行うべきかも判断できそうです.

Referral(紹介)の絶対数が足りない のであれば, Share系の機能強化であったり, 紹介ユーザへのインセンティブを考えてみるなどが必要になります.

Acuisition(ユーザー獲得)からActivation(活性化)の遷移率が悪い のであれば, ランディングページの改善が必要があったり, UI/UXの改善などを改善することになります.

つまり, PDCAサイクルにおけるAct(改善)の項目を見つけやすいフレームワークと言えます.