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行動経済学をグロースハックに活用する

行動経済学は今後のトレンドになりそうな項目なのですが, 日本語ベースの言葉はトレンドにはなりにくいのでしょうか.

グロースハックのために, 細かなA/Bテストを繰り返し実施し, 改善を繰り返していくことは当然必要ですが, 他にも 行動経済学 の学問で培われた知見を活かすこともできそうです.

行動経済学って何?

行動経済学とは, 日常の人間の性質や行動に基づく消費/投資などの経済活動について解き明かすものである. 経済学 というワードの通り, 経済学の1分野でもありますが経済学とは決定的な部分で異なっています. 経済学では仮定から演繹的に推論を積み重ねていくアプローチを採っており, アプローチでは全ての決定を合理的で一貫した判断で下すという前提で行われています. しかし行動経済学では, 経験論的な方法で仮説を検証し, また合理的な判断であるかよりも, より現実に近い人間モデルを採用 します.

人は論理的/合理的に行動しているように見えるとしても, どこかで必ず非論理的/非合理的な行動を 無意識のうちに 行っています.

よくある事例を紹介します.

2つのグループにデジタルカメラを買ってもらいます。 Aグループでは選択肢は38,000円と76,000円の同じブランドの2モデル。一方、BグループにはAグループと同じ2つのモデルのほかに、品質も価格も上級クラスの128,000円のモデルを加えた3モデル。

Aグループでは, 38,000円モデルと76,000円モデルのどちらも同じくらいの売れ行きになったようです. さて, Bのグループではどうだったと思いますか?

Bグループでは, 38,000円モデルを買う人が20%ほどにまで減ってしまい76,000円モデルを買う人が大多数になってしまったようです. 合理的に一貫した行動を取るとすれば, 38,000円モデルを買う人の割合は減ることはありえません. それでもこの例のように, 38,000円モデルを買う人の割合は減ってしまうのです.

論理的/合理的に一貫して行動することを前提とする経済学では, この事象を説明することは難しいのですが, 人間はこのように非論理的/非合理的な行動を無意識のうちに行ってしまうのです. そのような非論理的/非合理的な行動を取り扱う学問が 行動経済学 なのです.

経済学では, 高度な数学理論を使った手法が採られることもありましたが, 行動経済学では高度な数学理論ではなく, 心理学 をベースとした様々な実験を行い, 統計学的に 有為な差であるかなどを考えることが多いようです.

行動経済学のテクニック/キーワード

今回の記事では, それぞれのテクニックやキーワードについて詳細な説明は省略しますが, 興味のある方は調べてみるといいかと思います. 調べるときは, 行動経済学 というワードと合わせて検索キーワードに含めることで探したいものが出てくる可能性が高まります.

また探すときは書籍やウェブサイトだけでなく, 学術論文も検索対象に入れておくと, より高度なテクニックやより信頼できる情報が手に入ります.

バイアス

  1. 過剰一般化のバイアス(少数の法則)
  2. 現状維持バイアス
  3. 同調バイアス
  4. 代表性バイアス
  5. ヒューリスティックによるバイアス
  6. 公表バイアス
  7. 認知バイアス
  8. 自己奉仕バイアス
  9. ホームアセット・バイアス
  10. 損失過剰評価バイアス
  11. 自信過剰バイアス
  12. 追認バイアス
  13. 自己決定権優先バイアス
  14. 比較順番バイアス

効果、理論

  • 順序効果
  • 大数の法則
  • 願望的思考
  • バーナム効果
  • 代表性
  • 注意の焦点化効果
  • 小数の法則
  • プロスペクト理論
  • フレーミング効果
  • コンコルドの誤謬
  • ピーク・エンドの法則
  • 平均値への回帰
  • 限定合理性
  • サンク・コストの過大視

事例

行動経済学 というキーワードがマーケティング業界などで表立って出てきていない状況なので, その事例についても探すことは難しいのですが, 恐らくなんらかの事例が隠されているのではないかと思っております.

実際, 最初に挙げたデジタルカメラの例についても, モデルを戦略的に1つ増やすことで 客単価 を上げることができているので, 1つのマーケティング戦略としてどこかで使われているかもしれません. しかし, それらが体系立っていなかったり, そのようなマインドがマーケティング手法として知られていないということがあります.

また, 現状はこのように未知の部分が多い状態ですので多くの事例を生み出すことで, この分野のビジネスへの応用の先駆者となれるかもしれません.

9割の人間は行動経済学のカモである ―非合理な心をつかみ、合理的に顧客を動かす

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予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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行動経済学入門

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