東京で働くグロースハッカーのブログ

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BIツールを業務に取り入れるべき、たった1つの理由

業務で普段BIツール(具体的にはクリックテック社のQlikViewを愛用)を用いているのですが、周りの人でBIツールを使っている人をなかなか見かけないので、BIツールの、利用を促進するために、記事を書くことにしました。

BIツールとは

BIツールという言葉が聞き慣れない方もいらっしゃると思います。BIとは、Business Intelligenceの略で、企業の業務システムの一種で、業務システムなどに蓄積された膨大なデータを蓄積・分析・加工し、意思決定に活用できるような形式にまとめるものを指します。こう書くと、「自分には不要なツールだ」と思われがちですが、簡単に書くと、「膨大なデータを加工し分析するためのツール」と捉えることができ、多くのソフトウェアでは、データをピポット形式で集計したり、様々な種類のグラフを吐き出してデータを可視化するための機能が備わっています。

代表的なBIツールには、今回紹介しているクリックテック社のQlikViewのほかに、Tableau(Tableau社)、Pentaho(Pentaho社)、Dr.Sum EA(ウイングアーク1st社)などがあります。

また、BIに特化しているとは言い難いですが、Microsoft社のExcelも広義のBIツールと言っていいでしょう。

たった1つの理由:データとロジック、ビューを分離できる

プログラマーであれば、「モデルとビューとコントローラーの分離」(MVCモデル)であったり「デザインと文書構造の分離」(マークアップ)といった形で、1つの対象物を細かく複数個の対象物に分離してきた経験があります。

企業のマネジメント層や、様々なデータと日々格闘しているデータサイエンティスト、グロースハッカーの人たちは、最終的には何らかの レポート という形で成果をまとめる必要が出てくることがあるかと思います。このときにレポートに用いるツールは、Microsoft社のWordであったりPowerPointであったりExcelであることがほとんどかと思います。では、これらのツールを使うことが本当に最善であるのでしょうか?これらのツールはどれも、データとロジック、ビューを分離させることは難しく、1つのドキュメント内に、データとビューが押し込められ、またそのドキュメントとは別のところで、ロジック(データの集計方法など)が管理されているのではないでしょうか?さらによくあるケースでは、ロジック部分(データの集計方法など)については、テキストベースで集計のやり方が書かれている!

そして、月次や週次などのタイミングで、レポートの提出を求められたとき、テキストベースの集計のやり方を見ながら、データの集計を行い、集計されたデータをレポート・ドキュメントのグラフとして作成するため、データの転記を行い、グラフなどを作成し、完成。といった作業をやっているのではないでしょうか?

そんな人たちは、何らかのBIツールを導入し、データとロジックとビューを分離させてしまいましょう。自分がよく使っているQlikViewの場合、レポートドキュメントに、データの処理の方法(=ロジック)を記述し、さらに可視化したグラフなどを組み合わせたレポート(=ビュー)を定義します。その上で、外部データという形で、ExcelやCSV、他データベースの値を読み込むだけで、データの処理が行われ、可視化されたグラフなどを組み合わせたレポートが出来上がります。 今まで、システムから吐き出したデータに、計算列を何列か足して、その後ピポッドを、といった処理をしていた人たちも、データを読み込ませるだけでその処理ができるようになります。

最後に

BIツールというと、多種多様なグラフ作成ができることが最大の強み!と思っている方もいると思います。しかし、最近は、MicrosoftのExcelに標準でついているグラフ機能を見てみると、折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、散布図、レーダーチャート、バブルチャートといった、よく使うグラフ形式はほぼ網羅しています。自分がよく使っているQlikViewでないと作れない(と思う)グラフ種類としては、箱ひげ図や株価チャート、ファネル図といったところでしょうか?ただ、多くの人は、「そんなグラフ、いつ使うんだ?」と思うのではないでしょうか?

そういう意味では、グラフ機能の豊富さでBIツールを選ぶメリットはあまりありません。あるとすれば、データ量が多く、Excelで処理するためにVLOOKUPなどの時間のかかる関数を多用しなければいけないケースくらいでしょうか?

BIツールを業務に積極的に取り入れるべき、たった1つの理由ということで書いてみましたが、Excelのような汎用ツールのほうが使い勝手がいい場面があるのも事実です。重要な点は、どういったシチュエーションで、どういったソフトウェアを利用するかだと思います。

そういう意味では、 アドホック分析 (その都度、特定の目的のために、非定型に、思いつきで、データベースにアクセスしてデータ分析すること)のときには、BIツールというのは適していないかもしれません。ちょっとした思いつきで、その場で結果を得たい分析を行うときには、BIツールを起動して、データを整形しながら読み込むスクリプトを書き、集計軸を選び出し、値を計算するための式を書き、といったやり方だとオーバースペックかもしれません。アドホック分析でデータ量が膨大でないときは、今まで通り、Excelを使って、ピポッドテーブルやグラフを使い、臨機応変に行うのが適切と思います。

逆に、定型的なレポートで、週次や月次で必要になる作業で、見たい視点が決まっているケースでは、BIツールが本当の実力を発揮するときだと思います。

参考:QlikViewについて

QlikViewはクリックテック社が提供するBIツールで、個人利用に限定すれば、無料かつ無制限に使うことができるので、BIツールを使い始めるにはちょうどいいソフトウェアと言えます。

BI(ビジネスインテリジェンス)革命

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保健医療分野におけるビジネスインテリジェンス入門―QlikViewを用いたデータ分析

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2014年06月のグロースハック記事

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「グロースハックについて学べる国内のブログ一覧」の記事に、当ブログは掲載されていませんでした。掲載してもらえるよう、今後、優良な記事をたくさん書いていこうと思います.

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Retention(継続化)のレポーティングと改善施策

グロースハッカーにとってはもうお馴染みになってきた, AARRR モデルにおける Retention(継続化) をどのようなレポートにまとめるかと, そのレポートをもとにどのような改善施策を打つかについてまとめてみます.

Retention(継続化)とは

Retention(継続化)とは, ユーザーの継続率や再訪率 のことを言います. Acquisitionし, Activateさせたユーザーであっても, その後継続してあなたのサービスを使っていただかなければグロースハックとは言えません.

レポーティング

視点は2つあると思っています. 1つ目は 掴んだユーザーをどれだけ継続させることができているか , 2つ目は 過去に離れていってしまったユーザーのうちどのくらい戻ってきているか です. それぞれレポートに起こすときに必要になる項目を挙げてみます.

掴んだユーザーはどれだけ継続している?

自然検索や広告, ソーシャルなど様々なメディアからユーザーを獲得しています. そしてそれぞれのユーザー獲得には何らかのコストが発生しています. Retentionが著しく低いメディアに多くのコストを払っているようであれば, 何らかの対策が必要になります.

またサービスによっては, メディアがRetentionするか否かの影響を与えている度合いは少ないかもしれません. メディア別の継続化率を出してみた上で, 大きな差がないようであればメディア別のレポートを出す意味はありません. その場合は改善施策別にレポートを作成し, 効果のあった施策/効果のなかった施策をあぶり出していくようにするといいでしょう.

休眠ユーザーは戻ってきているか?

とても重要な視点です. どのようなサービスであっても休眠ユーザーは多数存在します. 7つのメジャーなSNSのアクティブ率を比較してみた(LINE, Facebook, Twitterなど) にもあるようにmixiやtwitterのMAUは65%〜70%程度です. つまり30%ほどのユーザーが休眠しています. このような休眠ユーザーは一度サービスを利用しているユーザーなので, 何らかのきっかけがあればサービスに再度復帰する可能性が非常に高いと言えます. また, 一度ユーザー登録を行っている, という特性からそれらのユーザーにアプローチするためにメルマガ, ダイレクトメール, リマーケティング広告, Push通知など様々な方法を低コストで行うことができます.

このようなことから, 休眠ユーザーがサービスに復帰したチャネル(, 施策)の情報をレポートにも含めるといいかと思います. 何らかの施策を行った場合はその施策を行ったボリュームと, その施策にかかった費用, その施策により復帰したユーザー数をレポートにまとめていくことで, より良いレポートができあがると思います.

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EFOによるグロースハック

EFOとは、Entry Form Optimizationの略で、エントリーフォーム最適化のことを指す。似たような用語に、SEOとかLPOなどがありややこしいかもしれないが、EFOでは、ユーザーのウェブサイト上での行動のうち、一番最後のフェーズの部分を最適化する。

SEOは、ユーザーがウェブサイトに流入する直前フェーズ(のうち、検索エンジン経由のもの)を最適化し、LPOではユーザーがウェブサイトに流入した直後のフェーズを最適化します。EFOでは、ユーザーがウェブサイト上で十分な行動を行った上で、最後に「商品購入」であったり「資料請求」「ユーザー登録」といった行動をしてもらうフェーズの最適化になります。

ユーザー心理

フォームでの離脱経験のあるユーザーは70%近くおり、離脱した結果、その商品・サービスの検討をやめた人も多くいることが知られています。

では、フォームを離脱した原因はどんなものがあるのでしょうか?

  • 入力項目が多かったり、意図しないエラーが出たため、離脱した人
  • 送信を戸惑う入力項目を要求された
  • 画面が使いにくい

こういった原因が上位にきているようです。

画面の使いやすさに関して言えば、最近はスマホユーザーが増えてきており、スマホに最適化されていないエントリー・フォームにおいて、スマホでの操作性が著しく悪く、フォーム入力を諦める、という事例も増えてきています。

どういうグロースハックを行うか

とにかくA/Bテストを実施してみましょう。EFOは、AARRRモデルにおいても一番最後のRevenue(収益化)に関与しているウェブサイトが多くあると思います。なので、ここを少しでも改善することで、ビジネス全体の改善に寄与することができ、大きなインパクトを与えることができます。

では、A/Bテストを行うときの変更項目として考えられるものを上げて行きます。

住所の自動入力

最近の住所入力フォームでは、郵便番号を入力したら、ボタンクリックなどをトリガーとして、その郵便番号から取得できる住所を自動で補完する機能を持っているものが多くあるかと思います。住所は都道府県名から入力させると、長くなってしまい、打ち間違いも発生します。そして、その打ち間違いはユーザーのフォームからの離脱にも繋がります。であれば、郵便番号だけ入力したら、自動で住所を補完する機能をつけ、ユーザーの離脱する確率を減らしてみてはどうでしょうか?

ガイド表示機能を付ける

ECサイトであったり何らかの会員登録などで登録する項目数が多い場合や、複数ページにも渡って入力フォームが続く場合、ユーザー心理には、「あとどれだけ入力が必要なのか?」という疑問が湧いてきます。その疑問が大きくなり、ある一線を超えると、ユーザーは入力を諦めて、フォームから離脱してしまいます。

そうならないためにも、フォームの項目数を減らすことも重要ですが、項目数を減らした上で、「あと何項目入力しないといけないか」をどこかにリアルタイムで表示してみましょう。

リアルタイムのエラー表示

使い勝手の悪いフォームの1つとしてよく挙げられるのは、「フォームの入力項目数が多く」「送信したと思ったら、たくさんのエラーが表示」「直して再度送信してみたら、また別のエラー」というものが出てくると思います。

そうならないためにも、リアルタイムで表示可能なエラーについてはリアルタイムに表示してあげましょう。送信ボタンをクリックした後でエラーが発生すると、ユーザーのモチベーションはどんどん下がります。

また、送信されたデータに対して、エラーがあった場合、サーバー側にもログとして残しておくようにするといいでしょう。そのようなエラーが多く発生している項目は、サイトのフォームに問題がある可能性が高いです。ログ上にきっちり残し、定期的に分析を行い、フォームの改善に繋げていきましょう。

入力例を分かりやすく表示

画面を最初に開いたときに、各項目にどのように入力したらよいか、入力例を表示するようにしましょう。例えば、電話番号を入力する欄であれば、どのようなフォーマットで入力すればよいか、などを書いておくといいでしょう。

また、HTML5では、placeholder属性が使用可能です。placeholderを用いることで、画面のレイアウト・デザインを大きく変えることなく、入力例を表示することができます。

確認画面の省略

よくある入力フォームでは、入力→確認画面→完了画面という構成になっているものが多いかと思います。果たして「確認画面」は本当に必要でしょうか?ユーザーによっては、「入力画面」でボタンを押す前に確認を行っている人もいると思います。また、本当は確認画面を表示させただけなのに、「完了ボタンを押し、登録が完了した」と思い込んで、完了画面でフォームを閉じてしまうユーザーがいるかもしれません。

また、入力内容に間違いがあったときには、メールや電話などで別途対応するようにすることで、確認画面そのものを省略してしまっても、大きな問題は発生しないのではないでしょうか?

オファー画像

オファー画像とは、入力画面に「最後の一押し」をするために用いられる画像のことをさします。「まずはお気軽にご相談ください!」とか書かれて女性の画像が用いられていることがよくありますw

オファー画像の最後の一押しに入れる文字や画像のテイストなどにこだわってみるといいかと思います。

まとめ

ウェブ上で検索すれば、いろいろな事例がたくさん出てきます。ただ、ウェブ上で見つかる成功事例を、自分のウェブサイトでそのまま実践すれば成功する、と思ってしまってはいけません。サイトに訪れるユーザー層の違いや、サイトの特徴・特性など、ありとあらゆる様々な要因によって、最適な解は変わります。まずは様々な事例を基に自分のサイトでA/Bテストを実施してみてください。10〜20種類のA/Bテストを実施すれば、なんらかの項目において、大幅な成果が得られると思います。

2014年05月のグロースハック記事

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Wantedlyの記事がどんどん増えている印象です。バズワード化していき、グロースハックのできる人材を採用したい会社が増えているんでしょうね。

2014年04月のグロースハック記事

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リスティング広告を運用するときに抑えるべき3つのこと

4月から新しい年度が始まり, 人事異動や組織改編などで新しくリスティング広告の運用をやることになった方も多いのではないでしょうか? そんなリスティング広告の運用初心者の方が最初に抑えておくべきことを3つまとめました.

AdWordsのリスティング広告での考え方をベースにしていますが, Yahooスポンサードサーチでも同じような考え方になるはずです.

その1: アカウントの構成

AdWordsアカウントは, 複数の キャンペーン を持ちます. またそれぞれのキャンペーンが複数の 広告グループ を持ちます. さらにそれぞれの広告グループは, 広告 を持つような構造になっております. そして, キーワード は広告グループに設定します.

注意が必要なのは, 広告グループの役割です. 名前のままに理解してしまうと, 各広告をグループ化する役割を持っているように思いがちですが, 実際には広告をグループ化する, というのではなく, キーワードをグループ化している と理解するのが適切です. そのキーワードのグループ単位でクリック上限単価を設定しているのです. なので当然, コンバージョン率の高そうなキーワード・グループ(=広告グループ)に対してはクリック上限単価を高く設定し, コンバージョン率の低そうなキーワード・グループ(=広告グループ)に対してはクリック上限単価を低く抑えることができます. 広告グループを, キーワードでグループ化せずに, 広告文やランディング・ページでグループ化してしまうと, コンバージョン率が高そうなキーワードも低そうなキーワードも同じクリック上限単価で配信してしまうことになり, CPAが低下する危険性が高まります. そして腕のいいリスティング広告運用者が運用するリスティング・アカウントにおいては, この広告グループの数がとてつもなく多量になることが多いです. よくあるケースでは1キャンペーンに対して広告グループが50〜100になることもあるようです. もし自分が運用しているリスティング広告アカウントの1キャンペーンあたりの広告グループの数が10に満たないものがほとんどであるようならば, リスティング広告の運用方針を見なおしたほうがいいかもしれません.

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